金の買取相場がこれだけ上昇した理由とは?

考える男女

現在でこそ、金の買取相場24K(=純金で1g当たり4500円を超える数字で推移していますが、2005年までは同じく1gで2000円もしませんでした。それが、翌2006年には年間の平均相場で2200円を超え、それから更に上昇を続け、2010年には平均して約3500円に、2015年になると4500円を超えるまで高騰し、現在でもその水準を保っています

ここ10年程度の間で2倍以上にも金の買取相場が高騰した一番の理由は、工業需要の増加です。ちょうどこの頃から液晶テレビが主流になり、その生産の為に大量の金が必要になりました。金は貴金属としての価値もさることながら、工業製品にも不可欠な存在です。

決して錆びることがない点と、その変形のしやすさから、あらゆる電化製品に使われている金属です。金が無いことには作れない製品も数知れません。

同時にスマホもこの頃から普及し始めた為、この液晶テレビやスマホ、そしてちょうど価格がこなれてきたパソコンもこれに加わって、これらの製造の為に金が大量に必要となり、その為に相場が急激に上昇したのです。

そして、それらの生産も2015年辺りを境に一段落しました。その為、2006年以降毎年のように高騰してきた金の買取相場も、ここ2年くらいはほぼ横ばい状態です。そして、工業需要が治まってきた今後は序々に下落することも考えられます。

しかしながら、一度上がった相場はそう簡単には落ちないものです。これにも理由があり、相場が上がった最大の理由は前述の通り工業需要ですが、例えそれが無くなってきたとしても、これまでに貯蓄や投資として金を購入した人が簡単には手放さない為です。

金のような貴金属の相場は、それ自体の需要の他に、売買されている量によっても上下します。貯蓄や投資の為に購入した人が手放さない限り、依然として流通量が少ないままなので、相場も高値で安定しているという訳です。

ですが、簡単に下落こそしないものの、2015年以降は値上がりの最大の理由である工業需要の低下から、それまでのようなペースでの値上がりは止まった状態が続いているので、今後に更なる大きな値上がりを期待するのは難しいでしょう。よって、現在よりかなり安い相場で購入した金を所持している場合、今が買取に出す時だと言ってもいいかも知れませんが、10年も先のことは全く分からないので、何とも言えない部分もあるのが実情です。

金の価値がこれだけ上昇したのはこのような理由の為で、逆にこのあおりを受けてプラチナの相場が下落しました。この理由は簡単でプラチナに投資していた人が金に乗り換えた為です。

このように、金の買取相場は元は需要によって上昇しましたが、もはやそれとは関係なく維持されていると言ってもいいかも知れません。